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世界史情報局

世界の全史を自分なりに見渡してみようと思って始めたブログ。近代以前の世界史の中心だった東アジアと西アジアの視点から、なるべく手を広げながら通史を書いています。根も葉もない出鱈目は書かないけど、面白さ重視で描写の脚色もします。

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イブン・アラビーとスピノザ

突然ですがスピノザが好きです。

Spinoza.jpg
(スピノザ)

【バルフ・デ・スピノザ】
オランダの哲学者・神学者(1632~1677)。セファルディム(スペイン系ユダヤ人)の家庭に生まれ、非人格的な神が世界に遍在するという汎神論(「神即自然」)を唱えた。


スピノザの主著『エチカ』は独特の形式を持った哲学書です。
まるで数学の証明問題のように定理と論証を重ねながら、スピノザは「神」がいかなる存在なのかを探求していきます。
個人的に数学は嫌いなんですが(←)、神を幾何学的に追及しようという、その心意気に惚れますね。

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(哲学書としてはかなり読みやすい部類だと思いますよ)


『エチカ』の結論としてスピノザが提示する神の姿は

・意志も目的も持たない(何故なら神はそれ自体で完全な存在だから、何か外的な目的に向かって意志する必要がない)
・世界全体と等価の存在(何故なら神は完全な存在だから、世界と等価にしか成り得ない)
・非人格的な存在(何故なら人格というのは人間特有の性質にしかすぎず、神には関わりがないものだから)

というもので、当時の(そして現代の)ごく普通の人々が信仰する「神」とはまったく異なる概念になったのです。

スピノザは無神論を唱えるものとしてユダヤ教から破門されるなど、いろいろ厄介な運命に遭います。
まあ同情。


そしてスピノザによれば神と世界が等価である、すなわち神は世界の外にはなく、世界は神の外にはない以上、人間を含めた自然のすべては神の一側面であるということになります。

これはもう、ユダヤ・キリスト教の世界観からすれば到底認められない理論だろうとは思います。
でも、すごく論理的な結論に思えます。
「神は絶対的な存在である」というテーゼを突き詰めていったら、必然的にこの結論になると思うのですよ。


それはさておき。
ここでふと連想するのが、これよりはるか前に生きたアラブの思想家、イブン・アラビーという人物です。

Ibn_Arabi.jpg
(イブン・アラビー)

【イブン・アラビー】
中世イスラームの思想家(1165~1240)。アンダルシアに生まれ、後年はシリア、アラビア、アナトリアで暮らした。存在一性論・完全人間論を唱えてイスラーム神秘主義(スーフィズム)に影響を与えた。

イブン・アラビーの思想を象徴するのは、「世界は神の自己開示なり」という言葉です。
彼によれば存在する世界のすべては、他の何物にも依存することなく存在する絶対者たる神アッラーの多様な顕現に過ぎないといいます。
つまり、世界はすべてアッラーの一部であり、アッラーは世界と等価である・・・・・・。

あれ、スピノザとほとんど同じことを言っているような。

そして井筒俊彦によれば、イブン・アラビーのこうした神概念は、さらにさかのぼって古代インド思想に繋がっていく可能性があるのだとか。



スピノザって、ヨーロッパの思想史・哲学史の系譜のなかで、どうにも浮いている気がします。
それはまあ、彼は同時代のデカルトやライプニッツと交流を持って、ドイツ観念論に影響を与えて云々みたいな位置づけはされていますよ。
でも、彼の唱えた神論は中世のスコラ哲学からの流れの中にはうまく当てはめられない。
彼より後の時代に対しても、思想史の本流的な影響を与えているようには見えない。
西洋近代思想の淵源としては、デカルトやライプニッツのほうがはるかに重みを持っているように感じられてならない。


スピノザって、極西に突然変異的に発生した東方的な思想家じゃないかと思うのです。
考えてみれば彼はセファルディム。イブン・アラビーやイブン・ルシュドを生んだアンダルシアにルーツを持っています。
そのあたりに彼の独特の思想の根っこがありそうな気がするのですが・・・・・・「スピノザ イブン・アラビー」とか「スピノザ イスラーム思想」とか検索しても、どうもこれといったタームが出て来なくて消化不良。


・・・・・・なんて、哲学思想のド素人が妄想した次第です。

どうでもいいけど、近世スペインにアンブロージオ・スピノラという名将がいてスピノザとかぶる。
というかスピノラのことを考えると、オランダで活躍したスピノザがスペイン系であることが分かりやすいという件。

Ambrogio-spinola.jpg
(アンブロージオ・スピノラ)


『エチカ』と同じ数学的哲学論証を試みたウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』は何度読んでもわけが分からない。
文章だけで書いているデカルトの『方法序説』は何度読んでも面白くない。
この違いはどこから来るのだろう。

翻訳?


そういえばさらにもう一個のネタ。
哲学者のウィトゲンシュタインと、ナポレオンのロシア遠征でロシア側の指揮官の一人として戦ったウィトゲンシュテインもかぶる。
何の関係が。

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(これを読んでこの記事のネタを思いついた)



それでは良いお年を。

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