世界史情報局

世界の全史を自分なりに見渡してみようと思って始めたブログ。近代以前の世界史の中心だった東アジアと西アジアの視点から、なるべく手を広げながら通史を書いています。根も葉もない出鱈目は書かないけど、面白さ重視で描写の脚色もします。

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独断と偏見によるイスラーム史入門書リスト(通史編)

とあるところから要望をいただいたので、イスラーム世界の歴史について、まったく初心者の方が手に取りやすい本をあげてみます。
スタンスとしては専門性や厳密性よりも入手しやすさと読みやすさ、面白さを重視しています。

このブログ自体もそういうスタンスなのですが、多少間違いがあっても、まずはその分野に興味が持てれば、あとは読んだ方が自力で知識を修正しつつ深めていけると思いますし、
逆に最初から厳密さを追及し過ぎると、初心者にとってのハードルが高くなりすぎ、かえってその分野から人を遠ざけてしまうと思います。

専門家の方は石を投げないでくださいしんでしまいます(><)


なお、書き手の興味関心知識から前近代が中心、かつ一昔前の本が中心のセレクトになります。たぶん。


1.イスラーム世界の歴史の特徴

引き続き前提として、「イスラーム世界」というのは実は定義が難しい概念です。
現在、イスラームを奉じる人々は世界中に存在し、イスラームが社会のなかで重要な位置を占める地域も、東は華南から北はロシア、西はアフリカまで及びます。
歴史的にもアッバース朝中期からは諸王朝分立の時代になり、中近東に限ってもアラブ・イラン・テュルクの三大民族が併存。中国史のように歴史を語る軸を定めることができなくなります。
なので、この巨大で曖昧なイスラーム世界史の全てを視野に入れた通史はほとんど存在しないと思われます。
よって、これから挙げていくものはおおむね部分的な歴史の寄せ集めになります。


2.凡例

独断と偏見に基づいて「面白さ」「入手しやすさ」「ボリューム」「学術性」「難易度」の五項目で評価します。独断と偏見(重要)です。


3.通史編

世界の歴史〈8〉イスラム世界 (河出文庫)

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古い本ですが、イスラーム前史としてのサーサーン朝ペルシアからオスマン帝国までの歴史がまとまっています。
さまざまなエピソードがちりばめられ、イスラーム世界の歴史を身近に感じられると思います。初心者に一番お勧めできます。

 【面白さ】★★★★★(どんどん先を読みたくなる面白さ)
 【入手しやすさ】★★★(運が良ければ大きな本屋でも……図書館ならたいてい見つかります)
 【ボリューム】★(文庫本1冊)
 【学術性】★(一般向けの概説、エピソード重視)
 【難易度】★(同上)


世界の歴史―ビジュアル版〈6〉イスラム世界の発展

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イラン中世史の泰斗、故・本田實信による希少な一般向け概説書。
イスラーム成立からモンゴル帝国頃までを豊富な写真や図版とともに解説しています。
刊行されたのが1985年なので最近の研究は反映されていないものの、内容に信頼感があります。

 【面白さ】★★★★(一般向け概説書として十分惹きつけるものがあります)
 【入手しやすさ】★★★(図書館ならたいてい見つかります)
 【ボリューム】★★(ハードカバー1冊)
 【学術性】★★(一般向けの概説)
 【難易度】★(同上)


都市の文明イスラーム (講談社現代新書―新書イスラームの世界史)

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『都市の文明イスラーム』、『パクス・イスラミカの世紀』、『イスラーム復興はなるか』の三部からなるイスラーム史。
政治史のみならず、社会史や文化史などさまざまな分野の第一線の研究者たちが、それぞれの専門分野について解説しています。
ある程度イスラーム世界史の流れを押さえたうえで、イスラーム史の多様な分野について知見を得るのに向いています。

 【面白さ】★★★(まあまあ)
 【入手しやすさ】★★★(図書館ならたいてい見つかります)
 【ボリューム】★★★(新書3冊分)
 【学術性】★★(一般向けながら、第一線の研究者たちが当時最新の研究を踏まえて執筆しています)
 【難易度】★★(一貫した通史ではないので、ある程度イスラーム史の流れを把握している人向けです)


物語 中東の歴史―オリエント5000年の光芒 (中公新書)

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ジャーナリスト出身の歴史家、故・牟田口義郎による一般向けの中東史。書名の通り古代エジプトからスエズ運河までをとりあげています。
さまざまなエピソードがちりばめられ、まるで小説のように面白く、とくに初期イスラームの大征服や十字軍、モンゴルとマムルークの戦いなどに詳しく触れられています。
同じ著者の『世界の都市の物語 カイロ』も隠れた名著だと思います。

 【面白さ】★★★★★(面白いです)
 【入手しやすさ】★★★(図書館ならたぶん見つかります)
 【ボリューム】★(新書1冊)
 【学術性】★(とことん一般向けです。物語という題名のとおり、半分小説と思った方が良いかも)
 【難易度】★(わりとサクサク読めます。ただ飛び飛びの部分もあるので途切れのない通史を知るのには不向きかも)


イスラムの国家と社会 (1977年) (世界歴史叢書)

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碩学、故・嶋田襄平による前期イスラームの政治・社会史。ウマイヤ朝やアッバース朝の統治や財政の諸制度などについて詳しく書かれています。
これまた古い本なので近年の学説は反映されていませんが、アッバース朝中期までの国家と社会について詳しく知ることができます。

 【面白さ】★★(つまらなくはないですが、普通に専門書です)
 【入手しやすさ】★★(大学図書館とかならあるかと)
 【ボリューム】★★★(けっこう読み応えがあります)
 【学術性】★★★★(専門書です)
 【難易度】★★★★(専門書です)


興亡の世界史 イスラーム帝国のジハード (講談社学術文庫)

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古い本ばっかりだな……と思ったので、最近の本も上げます。
講談社『興亡の世界史』シリーズの一環として刊行された一般向けのイスラーム通史。イスラーム誕生から現代までの要点を押さえており、イスラーム史入門に程よい感じです。
ただ、これも例によってアッバース朝滅亡から近代まで一気にワープします。やはりユーラシア各地の歴史を叙述するうえで、モンゴルの到来がひとつの壁になる模様。

 【面白さ】★★★★(一般向けに書かれています)
 【入手しやすさ】★★★★★(本屋でも普通に手に入る可能性あり)
 【ボリューム】★★(ハードカバー1冊)
 【学術性】★★(一般向けの概説)
 【難易度】★(専門書です)


世界の歴史〈20〉近代イスラームの挑戦 (中公文庫)

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最後に少しは近代史も。
中央公論社の新版世界の歴史の一冊。アマゾンレビューにあるように同時代日本人の見聞がちょっと多すぎなぐらいに引用されていたり、取り上げる地域に偏りがあったりはするものの、19世紀イスラーム世界の概要を知るには程よいかと。

 【面白さ】★★★(一般向け、わりと読みやすいです)
 【入手しやすさ】★★★★★(そんなに大きくない本屋でも普通に手に入ります)
 【ボリューム】★★(厚めの文庫1冊)
 【学術性】★★(一般向けの概説)
 【難易度】★(一般向けの概説)


うーん、やはりセレクトに偏りがあるな……。挙げてみた感想として、とりあえずイスラーム誕生から現代までを大づかみしたければ『イスラーム世界のジハード』から入るのが良いかも。
近いうちに地域史編や思想史編なども書いてみようと思います。オスマンやムガルなどについては地域史で。

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