世界史情報局

世界の全史を自分なりに見渡してみようと思って始めたブログ。近代以前の世界史の中心だった東アジアと西アジアの視点から、なるべく手を広げながら通史を書いています。根も葉もない出鱈目は書かないけど、面白さ重視で描写の脚色もします。

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独断と偏見によるイスラーム史入門書リスト(地域史編)

独断と偏見によるイスラーム史入門書リスト(通史編)」の後を承けまして、今度は地域に焦点を当てた読みやすい本をいくつか紹介しようと思います。

相変わらず古い本が多いです。最新の研究を紹介する趣旨ではないので古くても良いのです(強弁)


4.地域史編

イスラム・スペイン千一夜

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8世紀から15世紀までイベリア半島を支配したイスラーム諸王朝の歴史物語。全くの初心者向けに、アンダルスの諸王国の栄光と悲劇の数々が描かれており、時が経つのを忘れて読み耽ってしまいます。
もっとも、これは歴史書というより「物語」です。より正確な史実を知りたい方は、文庫クセジュの『レコンキスタの歴史』、刀水書房の『レコンキスタ―中世スペインの国土回復運動』などをお勧めします。
とくに後者は、現在日本で比較的容易に手に入る中では一番の良書だと思います。
一方で、「物語」としてのアンダルス史に惹かれる方には、集英社文庫に所収のエッセイ『アルハンブラ―光の迷宮、風の回廊』や、岩波文庫に所収の『アルハンブラ物語』もお勧めです。

 【面白さ】★★★★★(この本を読んでイスラーム・スペインの魅力にはまりました)
 【入手しやすさ】★(絶版。大きな図書館で探してください)
 【ボリューム】★★(薄手のハードカバー1冊)
 【学術性】★(エピソード中心、物語性重視)
 【難易度】★(同上)


イスラムとヨーロッパ (東洋文庫―前嶋信次著作選 (673))

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戦後日本を代表するイスラーム研究者であり、文人でもあった故・前嶋信次の著作集のひとつ。
いま日本で比較的容易に手に入る中では、最も詳細な後ウマイヤ朝の通史概説が所収されています。
なお、同じ著者の作品として、後ウマイヤ朝と盛期アッバース朝の文化と社会風俗を描いた、河出文庫の『生活の世界歴史7 イスラムの蔭に』も強くお勧めします。
イスラーム文明の黄金時代がどのような時代であり、そこで人々がどのように暮らしていたのかが、とてもよく分かります。

 【面白さ】★★★★(史実に立脚しつつ、後ウマイヤ朝の歴史を彩る人々の言動を臨場感あふれる筆致で描いています)
 【入手しやすさ】★★★(比較的最近に東洋文庫から刊行されているので、そこそこの図書館なら見つかると思います)
 【ボリューム】★★★(東洋文庫1冊)
 【学術性】★★★(一見物語風でありながら、同時代の記録や諸外国の研究をしっかりと踏まえています)
 【難易度】★★★(多少古めかしい表現もありますが、本と歴史が好きな人なら楽しんで読めると思います)


アラブが見た十字軍 (ちくま学芸文庫)

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癖のある本なので紹介するか迷いましたが……。
文字通り、イスラーム側の史料に沿って「十字軍戦争」の歴史を描いた本です。
あくまでもイスラーム視点なので、西欧側の事情や歴史背景には深く触れられていませんし、それなりのバイアスもかかっています……。
従来、過度に西欧の視点から描かれてきた十字軍戦争の歴史を「中和」する趣旨の本なので、バイアスは織り込み済みです。
十字軍戦争についての予備知識なしにいきなりこの本を読むのは難しいと思いますが、一般的な(西方視点の)十字軍関連書を読んだ後にこの本を読むといろいろ発見があると思います。
また、この時代の近東情勢についてかなり詳しく知ることができます。

 【面白さ】★★(玄人向けの面白さ)
 【入手しやすさ】★★★★(有名な本なので、たいていの図書館と大きな書店にはあると思います)
 【ボリューム】★★★(厚手の文庫1冊)
 【学術性】★★(学術書ではありませんが、同時代の史料からの引用と註釈がたくさんあります)
 【難易度】★★★(時代背景について予備知識がある方向け)


モンゴル帝国の興亡<上> (講談社現代新書)

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地域史というより通史編の補完みたいですが…アッバース朝衰退後のイスラーム世界はテュルク族の西遷、そしてモンゴルの嵐に見舞われます。
そんなモンゴル帝国の興亡について、ユーラシア全体を視野に入れながら描いた著書としてこれを挙げます。
ときに情熱的すぎるほど情熱的な筆致ゆえに毀誉褒貶ある著者ですが、とにかくスケールが大きくて「読ませる」文章です。

 【面白さ】★★★★(壮大なスケールで大モンゴルの興亡とアフロ・ユーラシア世界の変容を語ります)
 【入手しやすさ】★★★★(たいていの図書館にあると思います)
 【ボリューム】★★★(講談社現代新書の上下巻2冊)
 【学術性】★★(一般向けなので基本的に註釈や出典はついていません)
 【難易度】★★(一般向けです)


三日月(クレセント)の世紀―「大航海時代」のトルコ、イラン、インド (新潮選書)

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モンゴル帝国崩壊後、イスラーム世界を支配したオスマン・サファヴィー・ムガルの三大帝国の歴史を主題としています。
学術書ではなく一般向けの本ですが、類書の少ない白羊朝と黒羊朝などについてもページが割かれており、この時代に興味がある方には入手をお勧めします。

 【面白さ】★★★★(なかなか)
 【入手しやすさ】★★(古い本なので、なかなか見つけづらいかもしれません)
 【ボリューム】★★(新潮選書1冊)
 【学術性】★(扱うテーマはマイナーですが、内容はあくまで一般向けです)
 【難易度】★★(予備知識が少ないと少し辛いかもしれませんが、基本的には読みやすい本です)


オスマンVS.ヨーロッパ (講談社選書メチエ)

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前期オスマン帝国の歴史がメインテーマですが、第一章をまるまるテュルク族の西遷とアナトリアへの定住という前史にあてる他、オスマン帝国の先進性や、ヨーロッパ諸国とオスマン帝国との関係にも詳しく言及している良書です。

 【面白さ】★★★★(なかなか)
 【入手しやすさ】★★★★(比較的新しい本なので、大きな書店でも見つかるかもしれません)
 【ボリューム】★★(選書メチエ1冊)
 【学術性】★★(一般向けですが、索引や参考文献はしっかりついています)
 【難易度】★★(すいすいと読めます)


ムガル帝国の興亡 (イスラーム文化叢書)

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インドを支配した近世イスラーム王朝、ムガル帝国の興亡を描いた作品。
著者のアンドレ・クローはどちらかというとジャーナリスト寄りの人で、この作品も学術書というよりは歴史物語に近いテイストです。
が、ムガル帝国の興亡と、帝国の歴史を彩る様々なエピソードを見事に描き出しており、この国に興味を持った方にお勧めします。
同じ著者には『メフメト二世―トルコの征服王』や『スレイマン大帝とその時代』という、オスマン帝国を扱う著作もあります。
なお、ムガル帝国とその時代についてより詳しく知りたい方には、サティーシュ・チャンドラの『中世インドの歴史』(山川出版社)を紹介します。
イスラーム勢力のインド侵入からムガル帝国の衰亡に至るインド史について、日本で手に入る中では最も詳しく書かれた本だと思います。
また、この帝国の創建者であるバーブルの自伝『バーブル・ナーマ』が邦訳されており、東洋文庫に所収されています。

 【面白さ】★★★★(この国の歴史自体が面白いです)
 【入手しやすさ】★★(古い本なので大きな図書館で探してください)
 【ボリューム】★★(ハードカバー1冊)
 【学術性】★★(基本的に一般向けの本です)
 【難易度】★★★(同上)


ムハンマド―預言者と政治家

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いやこれ地域史じゃないでしょ……と思いつつ、どさくさ紛れに追加しておきたい一冊。
イスラームの創始者、預言者ムハンマドの伝記です。いわゆる古典的名著。定番。古い本なので最近の学説に沿わない記述も散見されますが、ムハンマドについて詳しく知りたい方向けに推します。

 【面白さ】★★★★(ムハンマドの人生自体がドラマチックで…)
 【入手しやすさ】★★(古い本なので、アマゾンで注文するか図書館で探してください)
 【ボリューム】★★★(ハードカバー1冊ですが、実感としてかなりボリュームがあります)
 【学術性】★★★(古典的名著)
 【難易度】★★★(同上)



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